事業譲渡

 M&Aにより、債務者会社を売却できる場合はよいのですが、買収会社が、簿外債務などが後で判明することを嫌がり、株式の買い取り方式を取りたがらない場合があります。

 この場合には、第二会社を設立し、事業譲渡を行う方法をとることがあります。

 事業譲渡は、一定の事業目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産の譲渡であり、資産や従業員などを譲渡します。
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 つまり、単に財産の集合体を譲渡するのではなく、有機的に結合している経済的に有意義な財産を譲渡するということです。ただし、原則として債務は引き継ぎません(引き継ぐ場合は一定の要件があります。したがって、契約関係を承継させるためには、契約の相手方の同意が必要です。

債務超過の企業における事業譲渡のリスク

 債務超過の企業における事業譲渡にもリスクが存在します。それは、詐害行為リスク、否認リスク、株主総会リスクです。

詐害行為リスク

 詐害行為リスクとは、民法424条の詐害行為取消権を行使されるリスクです。事業譲渡は、財産を譲渡することになりますが、それが債務超過状態にある企業が行ったものであるならば、その譲渡自体が総債権者を害する行為であり、詐害行為に該当するリスクがあるのです。

 つまり、会社の債権者からすれば、債務が原則として引き継がれませんから、財産が譲渡先に移転してしまうことは、債権者としては執行できる財産が無くなってしまうわけですから、大きな不利益になるといえます。

否認リスク

  債務者会社が破産したときに、破産管財人に否認権を行使されるリスクです。これも、詐害行為リスクと同様に、破産直前などに事業譲渡がされると、その事業譲渡を否認され、譲渡された資産を債務者会社に取り戻されてしまいます。

 詐害行為の場合と同様、会社の資産を吐き出させるわけですから、債権者にとって大きな不利益となります。

株主総会リスク

 事業譲渡において、事業の全部又は重要な一部の譲渡を行う場合には、株主総会を開いて承認を得なければならないとされていることです。

 株主は、債務者会社の株主であり、事業を譲渡してしまうと、債務者会社は倒産してしまい、株が実質的に紙くずになってしまうことから、株主総会で事業譲渡に対して反対してしまうというリスクです。

 しかし、これらのリスクは破産手続、民事再生手続、会社更生手続内であれば解消することが可能です。

 法的手続内での事業譲渡であれば、詐害行為も否認もありません。また、破産であれば管財人が株主総会を開かずに事業譲渡ができます。

 民事再生手続では、株主総会を開かずとも、裁判所の許可による事業譲渡が可能です。会社更生手続でも、株主の同意なしに更生計画内での事業譲渡が可能です。

 したがって、事業譲渡にリスクがある場合には、プレパッケージ型の法的倒産手続きを選択することにより、リスクを回避することが可能となります。

 事業譲渡で事業再生をお考えの方は、必ず法的リスクを検討しなければなりません。そうでなければ、せっかく再生したと思ったら、訴訟などを起こされ、全てを覆される危険性があるからです。

事業譲渡のメリット

 例えば、債務超過ではあるけれど、よい人材がたくさんいて、他社にはない独自の技術をもつ建設業の会社があるとします。別の建設業の会社がこの会社を欲しいと思っても、債務超過ですから会社をまるごと買うとなれば二の足を踏むでしょう。

 このようなとき、事業譲渡という方法を使えば、買い手は事業のよい部分だけを譲り受けることができます。そして、売り手会社は、譲渡代金で残った負債の一部を返済したあと清算します。こうすることで、今の事業は譲受会社で新しいスタートをきり、従業員の雇用も守ることができます。

事業譲渡のデメリット

 権利や義務が当然に移転するわけではないので、譲受会社は、取引先との契約や、従業員の雇用関係事務、不動産の登記などをすべてやりなおさなければなりません。

 もちろん、免許や許可も引き継げませんから、建設事業の売買であれば、譲受会社がもともと持っている場合は別として、建設業許可を取りなおすことになります。

 経審に関しては、工事の実績や評点を譲受会社へ引き継げる場合もあるので、事前に所轄官庁の取り扱いについて調べてみる必要があります。また、株式取得の場合と同様に、買い手は買収資金を用意しなければなりません。しっかりとしたスポンサーがいるかどうかも事業譲渡が成功するかどうかの秘訣となります。


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1.民事再生            2.倒産・清算・解散       3.企業破産・事業破産
4.事業譲渡 5.事業承継 6.弁護士に相談するメリット
     

 

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