不動産売買契約書

1 はじめに

不動産の売買契約ではその代金が高額となることが多く、それ故に契約書が適切に作成されていない場合に企業が負うダメージは深刻なものになります。

それでは、さっそく不動産売買契約書のポイントを見ていきましょう。

2 物件の特定

通常、登記簿記載の所在等をもって特定します。不動産の個数が多い場合には、別紙物件目録というような形で目録形式にすることが多いです。


不動産の一部をのみを売買する場合には、売買の対象が明らかになるように、図面を添付して売買部分に網掛けを行うなどの工夫が必要になります。

例)第○条(本契約の目的物)

  甲は乙に対し、次条で定める売買代金をもって、別紙物件目録記載の土地(以下、「本物件」という。)を売り渡す。

例)物件目録

   所  在  ○○県○○市○○

   地  番  ○○

   地  目  宅地

   地  積  ○○㎡

         のうち、別紙図面の網掛部分○○㎡。

3 売買代金

契約当事者間で土地・建物の面積を基準として代金を決定した場合、売買後に登記簿上の面積と実測面積との間に差があることが判明し、買主が売主に対して面積不測を理由に代金の一部返金等を求めて紛争になるケースがあります。

このような事態を避けるには、売買代金について以下のように、代金を登記簿上の面積で決めるか実測で決めるのかを明らかにするよう記載することが考えられます。

例)第○条(売買代金)

  1 本物件の売買代金は、金○○円とする。

  2 本物件の売買対象面積は、登記簿記載の面積とし、当該面積が測量による面積と相違しても、甲及び乙は、互いに売買代金の変更等その他一切の異議を述べないものとする。

4 手付金

不動産売買契約では手付金を交付することが多く、この手付金の意義について当事者間で認識がずれると紛争の元になります。

民法上、特に合意がなければ、手付金は解約手付と解されます(民法557条1項)。すなわち、相手が契約の履行に着手するまでの間、買主は手付金を放棄して契約を解除でき、売主は手付金の倍額を返還することで契約を解除できます。

手付金に上記と別の意義をもたせる場合には、その旨、必ず契約書に明記しておきましょう。

5 支払方法

不動産売買においては、代金の支払いと物件の引き渡し及び登記の時期について明確に規定しておく必要があります。売主としては所有権移転登記をしたが代金を支払ってもらえない、買主としては代金を支払ったのに所有権移転登記をしてもらえないという事態を避けたいので、一般的には代金の最終支払いと所有権移転は同時履行とすることが多いです。

特段の事情がない限り、以下のように定めます。

例)第○条(売買代金の支払方法)

   乙は、第○条に定める売買代金を次のとおり甲に支払う。但し、振込手数料は乙の負担とする。

(1)平成○年○月○日限り、金○○円を支払う。

(2)平成○年○月○日限り、第○条に定める所有権移転登記手続及び第○条に定める本物件の引渡しを受けると引換えに、残代金○○円を支払う。

6 境界

土地売買においては、売買後、当該土地の隣地の所有者が買主に対して境界が違うと言って紛争になることがあります。

契約書においてきちんと手当をしておかないと買主は隣地所有者との紛争を一人で負担しなければならなくなることがあるので、買主としては、売主に境界紛争が発生しないための予防について協力する義務を負わせた方が無難です。

例)第○条(境界の明示)

  甲は、平成○年○月○日限り、隣地所有者の立会いの上、境界を明示した図面に当該隣地所有者の署名押印を得、乙に交付しなければならない。

なお、逆に売主の立場として売買後の境界紛争に巻き込まれたくない場合には、契約書にその旨記載しておくとよいでしょう。

例)第○条(境界の明示)

  甲は、隣地所有者との境界立会い等の境界画定作業を行わないものとし、本物件を現状のまま乙に引き渡す。

  境界について隣地所有者との間で紛争が生じた場合には、乙の費用と責任において解決するものとする。

7 瑕疵担保責任

不動産の売買契約においては、「甲は乙に対し、引渡し後の本物件の隠れたる瑕疵について、一切の責任を負わない。」というような民法の瑕疵担保責任を排除する条項が盛り込まれることが多いです。

当事者のパワーバランスにもよりますが、買主としては可能な限りこのような条項をそのまま受け入れることは控えた方が良いでしょう。逆に、売主としてはこの条項を入れ忘れないように注意します。

間をとった例として、売主の責任の範囲を限定する条項を設けることもあります。

例)第○条(売主の瑕疵担保責任)

   1 甲は乙に対し、本件土地の隠れたる瑕疵及び次の建物の隠れたる瑕疵に限り責任を負う。

(1)雨漏り

(2)給排水管の損傷

(3)基礎、柱、梁などの躯体の損傷

(4)・・・

2 甲は乙に対し、前項の瑕疵について、引渡完了日から○年以内に請求を受けた場合に限り責任を負う。

3 甲が乙に対し本条により責任を負う場合、甲が乙に対して負う損害賠償義務の上限は金○○万円とする。

 

瑕疵担保責任については、売主の立場が強く、買主が瑕疵担保責任に関する条項の変更を実現できないことが多々あります。その場合、買主としては、売買契約締結前に後で売主に対する責任追及ができなくなることを念頭において、然るべき調査を尽くす必要があります。

8 まとめ

以上、土地売買契約は取引金額が高額となることが多いため、紛争になりそうな事項については契約書できちんと手当をしておきましょう。

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