安全配慮義務違反による損害賠償請求への対応

1 事案の概要

当法人のクライアント企業様は、派遣会社から派遣社員の派遣を受け、自社施設内において労働させていました。そうしたところ、自社の従業員がフォークリフトを操作した際に派遣社員に積載物をぶつけてしまい、これによって当該派遣社員が負傷してしまいました。

当該事故は労災と認定されたのですが、その後、当該派遣社員の代理人弁護士から、「貴社には安全配慮義務違反がある。よって、損害賠償として約900万円を支払え。」という概要の請求がなされました。

当法人の弁護士は、相手方代理人弁護士が請求している損害賠償額の根拠を明らかにするよう求めると共に、派遣社員側にも過失(落ち度)があったことが判明したので過失相殺の主張を行いました。

その結果、相手方代理人との間では、約300万円で和解が成立し、事件終了となりました。

2 弁護士の目

労災事案では、労働者が労災保険給付を得た後、さらに会社に対して損害賠償請求をしてくることがあります。請求の根拠は、安全配慮義務違反であることがほとんどですが、労災=安全配慮義務違反となるわけではありません。労災と認められるかと安全配慮義務違反が認められて会社に賠償責任が生じるかは別次元の話なのです。

しかしながら、労働安全衛生法などの労働者の生命・身体の安全を守るための措置を義務付けている法律に違反していた場合、高い確率で安全配慮義務違反が認められてしまいます。会社としては、同法に違反しないように、業務フローや業務体制を日々チェックしておく必要があるといえるでしょう。

仮に、安全配慮義務違反が認められ、訴訟になった場合には会社の責任が肯定されるとしても、労働者側の請求金額が法的に見て妥当かを検討しなければなりません。判決になった場合には認められないような請求は、その根拠が証拠によって明らかにならない限り、応じるべきではありません。

また、個々の損害項目・計算自体には問題がない場合であっても、労働者側にも落ち度がある場合、労働者が元々有する素因によって損害が拡大した場合、事故により別に金銭的給付を受けている場合には、過失相殺、素因減額、損益相殺といった損害賠償額の一部を控除する理論の適用がありえますので、これらの適用が可能かどうかも検討しなければなりません。

 

  • 下関の弁護士による無料相談会

    毎週土曜日 10:00~17:00

  • 下関の弁護士による無料メールマガジン
  • 下関の弁護士 弁護士法人ラグーン採用情報
無料法律相談会

毎週土曜日 10:00~17:00

  • 無料メールマガジン
  • 採用情報