刑事事件は突然に
刑事事件は突然に~その1・逮捕から起訴まで
そこで、弁護人(刑事手続き上、弁護士は弁護人に就任します)は、まず、勾留請求をしないよう検察官に働き掛けます。勾留が決定される要件は、罪証隠滅又は逃亡のおそれがあり、身柄拘束の必要性があることです。ですから、これらの要件がないことを主張するのです。
ここで目出度く釈放されれば良いのですが、力及ばず勾留請求をされた場合、被疑者は、裁判所に移動して
裁判官から勾留質問を受け、事情を聞かれます。裁判官は、検察官から送られた捜査の記録と勾留質問の内容から勾留するか否かを決めます。
弁護人は、勾留決定が出る前は、裁判官に勾留要件がないことをアピールし、勾留決定後は、「準抗告」という勾留決定に対する不服申し立てを行います。準抗告は、勾留決定した裁判官とは異なる3人の裁判官による合議制で、これにより勾留決定が取り消されることもあります。
さて、準抗告でも勾留が維持された場合、10日間の勾留が続きます。(なお、勾留は一度に限り延長することができ、勾留期間は最長20日間になります。もっとも、弁護人が、10日間丸々延長しないように、検察官や裁判官に働きかけるのは勾留請求の時と同じです。)勾留されている間、警察、検察官による捜査が行われます。
弁護人は、適宜面会に訪れ、取調べ状況を聞き、供述のアドバイスをするとともに、警察官や検察官と面会し、捜査の状況、どんな証拠があるのか等の情報収集をします。そして、勾留期間が満了になった時、検察官が起訴するかしないかを決定します。
弁護人は、検察官がこの判断をするまでの間に、収集した捜査情報を基に、起訴しようとする犯罪事実の立証の困難性や、情状をアピールして検察官が不起訴の処分をするよう働きかけます。
もっとも、弁護人も事件の筋を変えることはできません。勾留されるべきでない事件の勾留を阻止する、起訴されるべきでない事件の起訴を阻止する。人権が保障された適性な手続きで真実の発見をするという刑事手続きをまっとうさせるのが、弁護人の役割と考えます。
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