刑事告訴により事件が解決した事例
事案の概要
財産分与がなされないまま、離婚が成立した相談者が、相談者名義の自動車が元夫から返還されないということで、相談に来られました。
当事務所の対応
相談者名義の自動車を元夫が乗り回している状況、そして、その自動車を元夫が乗ることになったきっかけなどから、使用貸借契約の締結という主張が相手からなされる可能性を考え、元夫の方に、使用貸借契約を解除する旨と自動車を返還するよう求める書面を出しました。
しかし、何らの応答がないため、使用貸借契約を解除したにもかかわらず、相談者名義の自動車を乗り回している状況が横領罪(刑法252条)に該当するということで、刑事告訴をすることにしました。
本件の事例は、よくある横領の事例ではないため、本人たちでは法的に横領の構成要件に該当することを警察官に説明することが困難な事例でした。そこで、弁護士が、丁寧に事実を検討し、横領の構成要件に該当することを記載した告訴状を作成し、後日、相談者本人とともに警察署へ提出に行きました。
近年の警察署の運用として、1回目の相談時には、告訴状原本は受け取らず(=正式受理はせず)、告訴状の写しを受け取った上で事実上捜査をするという形が多くなっています。
今回も正式受理ではなく、事実上捜査をするという形になりましたが、警察官が、相手方に接触をして、横領だけでなく、車検が近かったことから、無理やり車検を通すと違法になる可能性がある旨を説明しました。そうしたところ、相手方から代理人の方へ連絡が入り、すぐに自動車の返還を受けることができました。
弁護士の目
本件は、刑事告訴という手段により、長年続いていた問題を解決することができた事案です。
警察は、民事不介入という言葉で話を聞いてくれない場合もありますが、きちんと刑法に則った主張がなされれば、刑事事件として捜査が開始されることがほとんどです。
実際に発生した事実を、刑法に則って主張することは通常難しい問題です。
「こういう被害にあったけれど、どう説明したらよいかわからない」などの疑問がある方は、一度弁護士へご相談されることをお勧めします。