第120回 法律事務職員

 弁護士の内田です。

 秋はなかったように感じます。
 暑いと思っていたら、もう寒いです。秋服を購入したのですが、ほぼ出番がなかったですね。

 ちょっと寒いくらいの秋の空気が好きなので、最近の気象変動は残念です。


 さて、本日のテーマは、「法律事務職員」です。

 法律事務所には、たいていの場合、法律事務職員がいます(弁護士は、「事務員さん」と言うことが多いので、以下では「事務員」と言います。)。
 特別な資格を保有しているとか、法学部を出ているとか、そういったイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。むしろ、法学部を出ておらず、法律関係の資格を持っているわけでもない方が多いといえるでしょう。

 「法学を学んでいないのに法律事務所での仕事が務まるのか?」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 勿論、結論としては、務まります(務まっています。)。

 法律上、弁護士でない者が法律事務を扱うことはできませんので、事務員の職務は基本的に弁護士の補助になります。つまり、事務員は、法的判断を求められることはないのです。
 では、どういった業務を行っているかというと、たとえば、相談受付で相談内容をヒアリングして弁護士に伝えたり、郵送作業をしたり、法的判断を含まない書面の起案などを行っています(最終的には弁護士がチェックします。)。「など」と言いましたが、挙げればきりがないほどに「事務」の範囲は広いので、事務員の有無や能力によって法律事務所の生産性は大きく変わってきます。

 医師と看護師をイメージしていただくと分かりやすいですが、体温測定や採血などを全て医師がやらないとすれば医師はパンクしてしまいますよね。医師が医師として集中すべき診断や治療方針の決定などのコア業務に力を割くことができなくなります。これと同じで、弁護士が郵送などの業務を全部自分で行っていると訴訟の結果予想や訴訟戦略の策定などの集中すべきコア業務に集中できなくなります。
 弁護士と事務員がそれぞれの役割を全うすることで、全体として適切で効率的な法律事務の遂行が可能となり、ひいては顧客への高品質なサービスの提供が可能となります。

 先ほど、法的判断を求められることはない、と述べましたが、では、全く法律実務が分からないまま事務員が務まるかというと、それはやはりそうではありません。たとえば、先ほど業務の例示として相談受付段階でのヒアリングを挙げましたが、そもそも法的に重要となる事実が分かっていないと十分なヒアリングができないわけです。ですから、社内教育やマニュアルなどを通じて「こういった内容を聞き取ってください。これこれこういう理由で必要になるので。」といったことを学び、ヒアリング技術を高めています。
 熟練した事務員になると、新人弁護士よりも適切に過不足ないヒアリングができるようになります。
これもまた国家資格とかではないのですが、「パラリーガル」と言われる事務員さんもいて、資格こそないものの特定の分野では弁護士と同等の実務能力を有した人たちもいます。裁判所に出す訴状を起案したり判例・裁判例を読み込んで弁護士に報告したり、そういったことまで行います。

 他の弁護士の話などを聴いていると、事務員に求めるレベルは法律事務所によって大きく異なるようです。郵送などの本当に事務的なことだけをやらせているところもありますし、当法人のようにある程度法的知識が必要な事務も担当させているところもあります。また、先ほど述べたパラリーガルレベルの仕事をさせているところもあります。


 いかがだったでしょうか。あまり知られていない「法律事務職員」のお話でした。

 ドラマや映画だと主人公は大体弁護士などの法曹資格者ですが、事務員を主人公にして事務員視点から法曹界を描いてみても面白いかもしれませんね。

 

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