メルマガ記事「人事評価について」

弁護士法人ラグーン所属の津田清彦です。

 

前回は企業の活動と人身傷害に関する話をしました。今回は人事評価についてです。

 

最近こんな事案がありました。

 

報道等による情報ですと、2012年に大阪市交通局が市職員の服務規程の厳格化を進め男性職員がひげを生やすことを禁止する「身だしなみ基準」を策定しました。それにより大阪メトロの男性運転士は上司からひげを剃るように命じられました。しかし、それにも関わらず、ひげを剃らなかったため、翌2013年と2014年に最低または下から2番目という人事評価をされました。男性運転士は、人事評価が違法であったとして提訴しました。

 

結論としては、大阪メトロの男性運転士が、ひげを理由に人事評価を下げられたのは違法であるとして、地裁は計44万円の支払いを命じました。ひげを理由とする減点は裁量権の逸脱としました。

 

みなさんは、この結論についてどのように考えますか。

 

この事案は公務員の事案であって、私企業の場合でも同じ結論になるかどうかは今のところ断言できません。私企業では、雇うか否かは自由の世界です。雇用する段階であれば、労働契約書の労働条件としてひげを剃ることを明記しておけば問題ないのではないかと私は考えています。しかし、全て一律に禁止するような条件は違法となる可能性があります。

 

では、なぜひげを伸ばしていたり、生やすと人事評価を下げられるのでしょう。

 

それはいくつか考えられると思います。たとえば、①対お客さん、対取引先との関係で不快な思いをさせるから、②不良のように見えるから、③日本人たるものビシッとしていないといけないからなど十人十色の意見があると思います。

 

ではこれらの考え方は法律上、妥当といえるでしょうか。たとえば、極端な事例ではありますが、自宅勤務が常で他の従業員、お客さんと会うことが業務上あり得ない業務内容であれば、上述の考え方が妥当でしょうか。

 

やはり、その従業員がどのような業種で、どのような業務内容なのかを無視して判断することはできないのではないでしょうか。

 

では、対お客さん、対取引先との面談が予定されている従業員は一律禁止にすることはできるでしょうか。

 

やはり、一律に禁止することは違法になり得ます。

 

では、どのように判断をすればいいのでしょうか。ひげを自由にさせていては、「あの会社の従業員はみんなひげが汚いから取引したくない」などと言われてしまったら仕事が減少し、会社の経営が成り立たないなんてこともあり得ます。この場合にひげを規制することは経営上合理的といえるでしょう。

 

しかし、ひげの規制の仕方が重要です。全て一律に禁止することは違法となり得ます。私企業であれば多少融通は利くと思いますが。

 

例えば、従業員全員がひげを生やしていたとして、皆が毎日、綺麗に整えていたとしたらどうでしょう。難しいところです。 「毎日綺麗に剃るなら生やしてもいいよ」という規制を作ったとしても、私はひげが濃いので毎朝剃っていても綺麗とはいえない状況で、夜には無精ひげです。昼休みに1回ひげそりの時間を設けないと規制違反になりそうです。

 

結局何が言いたいのかというと、この問題は、個人の自由VS企業経営の合理性という図式でどちらを優先するかという問題なのです。

個人の自由に任せてやりたい放題やらせれば企業経営に重大な影響が生じます。しかし、個人の自由を無視して企業に都合のいいように規制をかければ違法な規制になります。

 

そこで、個人の自由と企業経営の合理性を天秤にかけて、一方に偏り過ぎないように調整をする必要があります。

 

調整の方法は様々でしょう。要は、合理的な理由とその規制による不利益が大きすぎないことが大事です。

 

企業内の個人の自由と企業経営の合理性が衝突する場面では、このような調整を考えなければならないものが多いと思います。

 

みなさんならどのように個人の自由と企業経営の合理性を調整するでしょうか。一度考えてみてください(丸投げ)。

 

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