メルマガ記事「労働災害について」

弁護士法人ラグーン人身傷害チームの津田清彦です。

 

私は、人身傷害チームなので、企業の活動と人身傷害に関する話をしようと思います。

 

これまで交通事故や保険に関してお話をしてきまして、類似の話にはなりますが、今回は労働災害についてお話をしたいと思います。

 

労働災害は、会社に勤めている従業員が、労働契約に従って拘束時間に働いていたとき事故に遭いケガをするような場合や過労により精神疾患を負う場合など様々なケースがありえます。

 

まず、労働災害は2種類に分類できます。「業務災害」と「通勤災害」です。上述のケースは業務災害にあたります。

 

この労働災害は、会社を経営する皆様には重大な関心事だと思います。

 

ケースを設定してお話したいと思います。以下のケースや例え話は実際の事件を参考にしていません。全て私が思いつきでケースを設定しています。

 

【ケース 1

2019年1月9日、A社で工場勤務している甲さんが、プレス機に腕を挟まれ大けがを負った。

通院を続けたが、甲さんは腕を自由に動かすことができなくなってしまい、後遺障害12級相当の等級が認定された。

 

【ケース 2

2019年1月9日、B社で工場勤務をしている乙さんが、プレス機に腕を挟まれ大けがを負った。

通院を続けたが、甲さんは腕を自由に動かすことができなくなってしまい、後遺障害12級相当の等級が認定された。

 

B社では、毎朝朝礼で機械の使い方、危険性のチェックなどを指導しており、週に1回会議でヒヤリハット報告とその対策について話し合い、その対策の実施をするなど労働災害を防止するための措置を十分にしていた。

 

ケース 1 2 も、甲さん、乙さんは病院に通います。治療費、通院のための交通費を甲さんは支払わないといけません。また、甲さんたちは仕事を休まなくてならず、休業中、有給休暇や会社の協力がない限りは収入を得られません。貯金をしていたり保険に入っていたりすればよいですが、対策をしていなければ死活問題になります。

 

そして、甲さんたちは通院を続けましたが、不幸にも甲さんたちの腕はこれまでどおり動かすことは叶わなくなってしまいました。

 

このようなケースをみると、ケガをした責任は甲さんたちにあるから会社は責任を負わないのではないかとも思えますが、そうではなことの方が多いです。

 

A社と甲さんが締結した労働契約に従って、勤務時間中に勤務をしていた際の事故であれば、甲さんはA社の支配下に置かれた状態でケガを負っているので、会社にも責任が発生しえます。

 

しかし、甲さんがプレス機で遊んでいたり、プレス機の近くで酒を飲んでいたりすれば会社は責任を負わずに済む可能性もあります(プレス機の近くで遊ぶな、酒を飲むななどの注意をしていればなおさら)。

 

もし会社が責任を負うとなれば、今回のケースの場合には約500万~

1000万円近くの損害が甲さんに発生する可能性があります

(甲さんの通院期間、後遺障害の内容・程度、甲さんの収入により

増減します)。

ケース 1 で実際に甲さんに500万円の損害が発生したとしましょう。

 

甲さんが、A社に対して、A社のせいでケガを負い働けなくなったので

500万円を払ってくださいと請求してきました。

 

A社としては、ケガをしたのは甲自身の責任であると考え、支払を一切

拒否しました。

 

甲さんは、業を煮やし、A社を被告として裁判を起こしました。

 

甲さんは、自分にいくらかの過失があることは認めましたが、A社で

プレス機の使い方、注意方法などの指導は全くなかったからケガをした

と主張してきました。

 

(もしA社がなんの指導もしておらず、または十分な指導をしていないとすれば、会社側に大きな過失があったと裁判所で認定される可能性が高いです。)

 

A社の場合には、指導をしていたからA社の過失は大きいものではないという反論ができないでしょう。

 

一方で、B社の場合には、毎朝の朝礼での指導に加え、安全会議のやりとりなどを証拠としてだせばB社としては十分な指導をしていたとして、A社に比べてB社の過失割合は小さいものとなる可能性が高いです。

 

裁判の結果、甲さんはA社から400万円の判決を獲得し、乙さんはB社から250万円の判決を得ました。

 

このように業務災害の態様は両ケースとも同じようなものです。しかし、普段から安全対策を講じていたか否かによって請求されうる賠償金額は大きく異なってくることがあります。

 

このケースは私が思いつきで考えた事例なので、実際に過失割合で有利になったかどうかはわかりませんが、裁判例では、もちろん事例にはよりますが、安全対策を十分にしていたことが評価され、請求される賠償金額を抑えることができたという事例が多く存在します。

 

皆様の会社、職場では、危険が伴う業務について安全対策、指導等を十分に行っていますでしょうか。労働災害が発生する前から未然の防止策をとることをお勧めします。

 

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