不正防止対策(内部統制)セミナー

日時:令和5年11月16日(木)14:30~16:30
会場:海峡メッセ 803号室

講師:内 田 悠 太 ・ 松 枝 弘 樹

テーマ: 「不正防止対策(内部統制)」 

弁護士のコメント


 

 今回は、「某自動車販売業者の事例から学ぶ 不正防止対策(内部統制)」というテーマでセミナーを行いました。
 内部統制というと大企業がするものというイメージがありますが、中小企業もお客様の信頼を裏切る行為や許認可の取消等の重大な行政処分により倒産に追い込まれることがあり、内部統制に全く無関心というわけにはいきません。しかし、一方で中小企業がJ-SOX制度のような「重たい」手続を導入するのは現実的ではありません。

今回のセミナーでは、判例、某自動車販売業者の事案における第三者委員会の報告書、ケーススタディなどを踏まえながら、中小企業が採るべき内部統制の在り方についてお話しました(要旨は下記のとおり。)。

今後も、具体例を踏まえながら行動指針となるような内容のセミナーを継続していきたいと思います。

セミナー当日の様子

セミナーレポート:某自動車販売店に学ぶ、不祥事防止のための内部統制入門

第1 セミナーの要点

1 内部統制とは、生じうるリスクを継続的に把握・分析し、対処する仕組みを構築すること。

 

2 法律も行政ガイドラインにも具体的に「こういうシステムを構築しなさい。」とは書いていない。骨子のようなものしか書かれていないので自社の実情に照らしてオリジナルのシステムを構築していかなければならない。

 

3 法的責任の観点からは、代表取締役は「通常想定されるレベルの不正行為を防止する体制」を構築しておけば原則として足りる。

 

4 J-SOXで求められていることを中小企業が無理にするべきではない。「顧客を裏切る行為」と「行政上の許認可の取消し(又は業務停止)」という致命的リスクに焦点を定めるのがよい。

 

5 内部統制システムの構築は、基本的に①方針・範囲・体制の決定→②リスク分析・重要プロセスの設定→③対策の決定と文書化→④IT統制→⑤統制の有効性評価→⑥内部監査と改善→⑦外部監査の順で進むが、簡略化すれば③と④、⑤と⑥は統合でき、⑦は省略できる。

 

6 リスクマップ、リスク一覧表、業務フロー図、業務記述書、リスクコントロールマトリクス、各種規程・書式、マニュアルの作成など内部統制における文書化作業(及びその運用)の負担は重い。中小企業において確実に少しずつでも内部統制システムの構築を進めていくには、内部統制範囲の限定が有効である。

第2 ケーススタディ

 1 設例

  X社は不動産業を営む株式会社である。取締役は3名、従業員は27名であり、うち6名が宅地建物取引士である。事務所は山口県内に6か所存在している。

  代表取締役Aは、近隣の競業他社Y社が行政庁から業務停止30日の処分を受け、その後も客足が戻らず倒産しそうとの情報を得て、自社も同じ轍を踏まないか心配になった。そこで、取締役Bに対して自社の内部統制を強化するように指示を出した。Bは、自身、A及び各事業所の長でリスク管理委員会を組織することにし、Aからその了承を得た。また、内部統制を行う範囲については、現在X社に人員の余裕がないため、不動産売買契約の媒介業務に絞ることにした。

  X社には業務マニュアルや契約書・重要事項説明書などの書式(以下、併せて「書式等」という。)が存在するものの更新を管理している者がおらず、適時、古くなっていることに気付いた従業員が総務部長の許可を得て修正を行っていた。書式等は共有サーバーに保管され、従業員が適時印刷して使用していた。

  なお、X社では歩合給制度が採用されており、媒介報酬金に比例して賃金が増える仕組みとなっている。

 

 2 設問

 (1)リスク分析をするに当たって、Bはまず何をするのがよいと考えられるでしょうか。

 (2)Bは、調査の結果、内部統制の強化により重点的に対処するリスクを「不動産売買契約の媒介業務において3日以上の業務停止処分を超える処分を受けるリスク」に絞る一方、重要プロセスについては絞りをかけずに売主又は買主からファーストコンタクトがあってから売買契約履行完了(登記を含む)までにしたとします(以下、「本件プロセス」という。)。

    Bは添付資料「X社リスク一覧表」業務記述書、業務フロー図、及び添付資料「XRCMを作成しました。設例で与えられた事実から推測できるリスクをX社リスク一覧表の空欄aに、このリスクに対するコントロールをX社RCMの空欄bにそれぞれ記入してください。

  ※X社リスク一覧表の記載は国土交通省ネガティブ情報等検索サイトで公表の情報を基に作成しています。法令については宅建業法第31条の3、第46条、第34条の2をご参照ください。

 (3)X社は今回、内部統制範囲をかなり絞って内部統制システムを構築しようとしていますが、判例に照らして、法的責任の観点からX社が今後採るべきと考えらえる内部統制システム構築プランを論じてみてください。

 

 3 解説動画

上記設問に対する解説動画(15分程度)をDL希望の方は、furumita@lagoon-law.comに以下の要領でメールください。動画DL用のURLをお送りいたします。

件名 解説動画(内部統制)希望

本文 社  名 

担当者名 

業  種 

従業員数 

※従業員数は100名~150名のようにおおよそで結構です。

当法人の顧問サービス紹介ページは こちら をクリックしてください。内部統制援助サービスにつきましては こちら をクリックしてください。

顧問先企業様には、セミナーで使用したレジュメ・パワーポイント・書式資料等を全てお送りしています(全国対応中)。

 

  • 下関の弁護士による無料相談会

    毎週土曜日 10:00~17:00

  • 下関の弁護士による無料メールマガジン
  • 下関の弁護士 弁護士法人ラグーン採用情報
無料法律相談会

毎週土曜日 10:00~17:00

  • 無料メールマガジン
  • 採用情報