第56回メルマガ記事「再生手続きについて」2020.9.24

 


 弁護士の内田です。

 

 最近、涼しくなりましたね。そろそろ半袖シャツはやめようかと思う今日この頃です。

 

 私は、健康のために1週間に2~3回程度、ランニングをしています。ランニングを始める前は走るとすぐに息切れするし、町を歩いていて「目的地まであと2km」などの看板を見るとテンションが下がっていましたが、今はそうそう息切れしなくなりましたし、「あと2km」などの看板を見ても「走っていけるな。」とむしろ少しテンションが上がります。

 

 「最近、疲れやすくなったな。」と思われる方には、ランニングをお勧めします。

 

 ランニングのもう1つ良い点があって、それはストレスの解消になるということです。瞑想が呼吸のみに意識を集中して雑念を払うのと似ているように、ランニングもかなりきつくなってくると走ること「だけ」にしか意識がいかなくなり、雑念を排除することができます。

 

 

 さて、今回の本題ですが、それは「再生」です。何回か前に破産について簡単に説明しましたが、今回は破産と似て非なる再生についてお話します。

 

 破産と再生・・・大きく異なる点は、「払っていかない。」か「払っていくか。」です。

 

 破産は原則として借金が免除になるのに対し、再生は一定の割合(概ね8割程度ですが総債権額によって異なります。)で債務(借金)をカットし、3年から5年の長さで分割して支払っていきます。

 

 これだけ見ると破産の方が借金0になるので良さそうですが、破産に特有のデメリットとして原則として資産を全て売却しなければならないという点があり、マイホームや自動車を失うと困る人は再生を選択する傾向にあります。

 と言いますか、再生を選択する場合、ほとんど住宅資金特別条項付小規模個人再生です。

 

 名前は長ったらしいですが、要は、住宅ローンだけは元の契約どおりに支払いを続け、他の債務(借金)だけは上記のとおり大幅にカットして分割して支払っていくというものです。

 このような便利な制度があるのです。

 

 この制度を使う上で注意すべき点もいくつかあります。

 

 まず、住宅ローン会社以外の抵当権等の住宅と関係のない担保権が建物に付いていると利用できません。

 

 また、当然ですが、再生計画が履行できることが前提になりますので、たとえば、借金を返すために借金を繰り返す・・・というような形で借金があまりに膨れ上がってしまうとこの制度は利用できないことになります。

 

 たとえば、住宅ローンが月10万円、住宅ローン以外の借金が800万円、月の手取が22万円、借金の返済以外の月の支出が8万円の人がいるとします。

 住宅ローン以外の借金800万円については、再生手続により概算800万円×0.2160万円に圧縮され、これを最大5年(60月)で分割すると、月の支払は約2.6万円になります。

 この場合、月の手取が22万円であるのに対し、月の支出は10万円+8万円+2.6万円=20.6万円となり、十分、再生計画履行の見込みがあるということになります。

 

 これに対し、住宅ローン以外の借金が1500万円まで膨れていたとした場合、1500万円×0.2300万円、300万円÷60月=5万円/月となり、月の支出は10万円+8万円+5万円=23万円になりますので、月の手取を超えて再生計画履行の見込みがないということになってしまいます。

 

 上記のような便利な再生制度を利用するとしても、タイミングを誤ってはいけないということですね。

 

 

 さて、いかがだったでしょうか。

 

 上記の再生は債権者の半数以上が反対すると認められないのですが、実務上、ほとんど反対の意見が出ることはありません。

 「かわいそうだから」という理由ではなく、反対して再生が認められなかった場合には破産しかなくなり、破産されると20%どころか1円も払ってもらえなくなる可能性が高いからです。

 

 私個人の考えは、「借りたお金は返さないといけないが、死んだり家族を不幸にしてまで返す必要はない」です。

 我が国は立派な先進国ですからね。

 

 借金苦を理由に自ら命を絶つといった先進国にあるまじき事件が無くなるようにと願っています。

 

 

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