業務受託者の横領が発覚した際の対応
事案の概要
X社から業務受託者Aに対し、顧客に対してX社の商品を推奨するなどの営業及びX社の商品の売買代金を現金受領するなどの業務を委託していました。
ところが、AはX社の顧客から現金を受領していたにもかかわらず、これを自らのものとしていたことが判明し、その額は100万円弱に達していました。
X社は弁護士に対し、Aとの関係をどのように処理するのが妥当か相談しました。
弁護士の回答等
弁護士は、①企業秩序維持の観点からAを横領罪で刑事告訴することも可能であるが、金銭的・労力的なコストがかかること、②特段の事情のない限り、業務委託契約は解除するのが妥当であること、③損害賠償については、一括で弁済を求めるが、現実的に難しければ分割弁済も受け入れた方がよいこと(但し、約束どおりに支払いがなされない場合に即強制執行ができるように公正証書で和解書を作成した方がよいこと)、④根本的には業務受託者が同様の手口で横領することができなくなるよう業務設計を見直すことが必要であること、などをアドヴァイアスしました。
結果
X社は、弁護士のアドヴァイスを踏まえ、Aを刑事告訴することはせず、Aの資力に関する情報を得た上で、Aとは分割払いでの弁済で和解(債務弁済公正証書による)しました。