第75回メルマガ記事「「セクハラ・マタハラ・パワハラの相違点」」

弁護士の内田です。 

 

 寒さも和らいできましたね。服装に少し迷う時期です。

 今日は、本題に入る前に、服装について少しだけお話しようと思います。

 

 私はビジネスにおいて服装は相当程度の重要性を持っていると思っています。「人を見た目で判断するな。」とよく言われるとおりなのですが、これは裏返せば「人は人を見た目で判断する傾向にある。」ということです。

 弁護士でいえば、実はとても優秀な弁護士なのに、残念な服装であるがために「この先生は頼りなさそうだから依頼するのは止めておこう。」ということになってしまい、損をしてしまいます。

 

 細かいことは言えばキリがないのでしょうが、最低限、①服が清潔であること、②体のサイズに合っていること、は気にした方がよいと思います。

 清潔感・サイズに加えて重要な要素となるのが「色」だといえます。

 

 とある著書には、「大統領・首相といった国のトップを務めるような人たちは、明るいグレーのスーツは選択しない。軽い印象を与えるからだ。」「欧米人は黒のスーツを好まない。黒は葬式のときに着るものだからだ。」と書いてありました。こうした目線でニュースを見てみると、たしかに国を代表するような人たちは明るい色のスーツは着ておらず、大体、ダーク気味のグレーかネイビーです(あと、無地が圧倒的に多いですね。)。

 

 私個人としては、服装をしっかりすると気持ちも引き締まったような気もしますし、相手に与える印象も良くなりますので、社会人の方々には服装への投資をお勧めしています。

 

 

 さて、服装の話はそれくらいにしておきまして、今日のテーマは「セクハラ・マタハラ・パワハラの相違点」です。

 勿論、セクハラ・マタハラ・パワハラが違うのは当然ですが、今日お話しするのは法的観点から見たときの相違点です。

 

 相違点に入る前に、共通点について確認しておきましょう。

 これらの共通点は、①法律上、企業に対して防止義務が課せられていること、②度を超えれば不法行為(≒民事上違法な行為)になり損害賠償義務が発生すること、③予防の方法は、経営陣によるハラスメント防止方針の明確化、相談窓口の設置及び従業員教育、事件発生時の適切な対応(事実調査及び処分・公表)であることです。

 

 次に相違点です。

 

 セクハラとパワハラの違いですが、セクハラはその認定が比較的容易であるのに対し、パワハラはそれが比較的困難です。

 通常、業務遂行において性的言動を行う必要はありません。そのため、業務に関連して被害者が嫌悪するような性的言動を行った場合には、比較的容易にセクハラに該当すると判断することができます。

 「相手が同意していたかどうかが問題になるのではないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、部下である女性は上司である男性に対して明示的にNoということが出来ず、かえって迎合的な態度を取ってしまうといった研究結果などもあり、男性のいう「同意があると思っていた。」という主張はほぼ認められません。

 これに対して、業務において指導や叱責は必要であるため、セクハラと比較するとパワハラの判断は難しいといえます。とりわけ、精神的攻撃と言われる類型のものについては非常に判断が難しいといえるでしょう(この点、裁判例を分析すると、「馬鹿」「無能」といった人格を否定するような抽象的な叱責は違法と評価されるようなので、指導は個別具体的に行うようにした方がよいでしょう。)。

 なお、当然ですが、怠惰な部下など問題社員に対するものであってもパワハラは正当化されません。会社がそういった者に対して行うべきなのは人事処分・懲戒処分です(詳しくは、拙著「リスクの見える化と逆算思考による最適なパワハラ対応」を参照。)。

 

 次に、パワハラ及びセクハラとマタハラの相違点ですが、前者は立証責任が被害者に帰属しているのに対し、後者は事実上会社側に反証責任が課されているという点が挙げられます(マタハラにおいてもそれがあったことの立証責任は被害者にありますが、事実上、会社側にマタハラではなかったことの反証責任が課されているという意味です。)。

 妊娠・出産・育休などを理由として労働者に不利益な処分を課すことが典型的なマタハラです。妊娠等があったとしても、同時に業務上のミスを繰り返すなどすれば降格されるのは当然で、妊娠等があったからといって絶対的に不利益な取扱いがなされないわけではありません(このような処分は「理由として」に該当しないからです。)。

 しかしながら、判例に対する行政解釈レベルではあるものの、妊娠等から1年以内なされた不利益取扱いは妊娠等を「契機として」行われたものとし、原則として妊娠等を「理由として」不利益な取扱いをしたものと認定するということになっています。

 つまり、妊娠等から1年以内に業務上のミスや必要性によって労働者に不利益な取扱いをした場合には、会社の方でその取扱いが妊娠等を「理由として」行われたものでないと積極的反証しなければならないのです。

 このような実務を踏まえると、会社は妊娠等から1年以内の不利益な取扱いはなるべく避けるべきですし、やむを得ず不利益な取扱いを行う場合には、それが妊娠等以外の理由に基づくものであることを証明できるように入念に準備しておく必要があります。

 

 通常、セクハラ・マタハラ・パワハラの相談窓口は一本化されていることが多いかと思いますが、担当者は上記のような相違点を意識しながら担当業務を遂行する必要があるといえるでしょう。

 

 

 いかがだったでしょうか。

 

 自分自身、不本意ながら叱責はしていますが、ハラスメントはしていないと自負しています。ですが、ひょっとしたら部下からはパワハラとか思われているかもしれません。

 

 大切なことは、このように「ひょっとしたら」と考えることで、そういった意識を全従業員が共有すれば自然とハラスメントは無くなっていくのではないかと思います。

 

以上

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