建物賃借人と交渉し、和解の上、退去していただいた事案

事案の概要

依頼者は、賃貸していた物件を別の目的で使用するために、賃借人と退去交渉を行った。そうしたところ、1名を除いては退去に応じてもらえたが、どうしてもその1名(相手方)だけ退去に応じてくれなかった。

そこで、依頼者は、弁護士に、相手方との交渉を依頼した。

 

解決までの経緯

相手方と調停で話し合いを行い、①契約の更新拒絶は法律の要件を充たしており有効であり、本来であれば立退料を支払義務はないこと、②①であるにもかかわらず、解決金として引越費用等の一部を負担すること、などを主張・提案し、数社の見積書を精査した上で、依頼者が引越費用等を支払う代わりに相手方は一定期限までに建物を退去するという形で和解が成立した。

 

弁護士の目

建物の賃貸借契約においては、借地借家法などの法律で賃借人は手厚く保護されているので、一般に、賃借人を建物から退去させるは困難なことが多いといえます。

賃料の不払いが長期間継続しているなどの事情があれば、訴訟において勝訴できる可能性は高いですが、それでも借家人が任意に退去しない場合には強制執行まで行わなわなければならず、多額の費用がかかることになります。

賃借人に目立った債務不履行がない場合(主として賃貸人側の事情で賃貸借契約を解除したい場合)、手続面、実体面のいずれでも誤った方法を採らないことが重要です

たとえば、賃貸借契約の更新を拒絶しようとする場合、期間満了の1年前から6か月前までの間に更新しない旨を通知し、かつ、期間満了後も借家人が建物の使用を継続している場合には速やかに異議をとどめておかなければなりませんし、更新拒絶には正当な事由が必要になります。

したがって、借家人が更新拒絶を争いそうな場合には、内容証明郵便等で更新拒絶・異議の通知を出しておかなければなりませんし、正当事由に関する証拠を整理しておかなければなりません。

また、立退料に関するご相談も多くあるところですが、これもケースバイケースです。

たとえば、全く正当事由があると認められないようなケースでは、引越料・引越先の契約書費、賃料差額の1~2年分といった手厚い立退料を支払わなければならなくなりますし、逆に、正当事由が認められそうなケースでは、引越料だけの負担で済むケースが多いです。

いずれにせよ、正当事由の有無の判断や適正な立退料の計算は難しい面がありますので、建物退去の請求する際には、予め弁護士にご相談ください。

 

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