建物を収去させ土地の明け渡しに成功した事例
事案の概要
依頼者は土地を競売で購入し、その時点で当該土地上に建物と小さな工場が存していたので法定地上権が成立していた。依頼者は当該建物の所有者(相手方)に地代を請求したが相手方はこれに応じず、十数年が経過した。
依頼者は上記建物を収去して上記土地を更地にするべく、弁護士に依頼した。
解決までの経緯
弁護士は建物所有者に連絡を取り、地代の不払いを理由として法定地上権消滅請求権を行使することを説明し、相手方の費用をもって建物と工場を収去するよう交渉した。
そうしたところ、相手方は工場の収去には応じたが、建物については自分とは別の人(相手方2)が住んでいるとして、収去を拒否した。
その後、相手方は行方をくらませたため、弁護士は、やむを得ず、相手方及び相手方2を被告として建物収去土地明渡請求等の訴訟を提起した。
相手方と相手方2は出廷せず、依頼者の完全勝訴の形で終わったが、相手方とは連絡が取れなくなっていたので、強制執行に踏み切り、建物を取り壊して収去した。
弁護士の目
建物の明渡請求でも土地の明渡請求でも相手方が任意に応じない場合、最終的には訴訟になりますし、判決が出ても相手方がそれに従わない場合には強制執行となります。
法律的には強制執行の費用は相手方から支払いを受けられるという形になっていますが、実際には、本件のように相手方が行方をくらませたり、資力がなかったりして強制執行にかかった費用を回収することができないことが多いです。
本件において、弁護士はこの現実を考慮してなるべく相手方の費用で任意に建物を収去するように求め、その結果、工場だけは何とか任意に収去してもらいました。依頼者の支出した強制執行費用は130万円程度でしたが、もし、工場まで強制執行によって収去していた場合にはもっと多額の費用を要したでしょう。
不動産関連事件では、相手方が任意に不動産を明け渡さない場合で、かつ、強制執行費用の回収も見込めない場合には、多少の譲歩をしてでも任意に明け渡すよう交渉するべきといえます。
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