第1回メルマガ記事「残業代シリーズ①」 2017.7.27号

 こんにちは。
 最近、かなり暑くなってきましたね。
 年々、暑さが増しているように感じます(ただ、私自身の体力が歳と共に衰えていっているだけなのかもしれませんが・・・)。

 さて、私が趣味で購読している日経ビジネスで「やってはいけない働き方改革」という記事がありました。
 電通事件以降、長時間労働に対する社会の目は厳しさを増し、企業はいかに労働時間を短縮できないか日々頭を悩ませているところです。

 

 働き方改革を考えるにあたって、まず、会社は労働時間と賃金の関係をきちんと理解していなければなりません。
 この点について理解を怠ると、無駄な残業代を支払うことになったり、従業員に対して生産性の高い働き方を目指すインセンティブを与えることが困難になります。

 

 そこで、3回にわたり、「残業代と働き方改革!」と題して労働時間と賃金の関係について基礎的な法律知識を事例などを踏まえつつ解説したいと思います。

 第1回の今回は労働時間と賃金に関する基礎的な知識と働き方改革の基本的な方向性について解説します。
 第2・3回は、無駄な残業代を発生させないために法的に採り得る手段とその活用方法をご紹介いたします。

 

1 賃金は拘束時間で決まる!

 会社はなぜ従業員に賃金を支払うのでしょうか。
 それは、会社の業務遂行を通じて会社の売上向上に貢献して欲しいからではないでしょうか。

 

 しかし、法律的には、歩合給制度を採用しているなどの事情がない限り、従業員が会社の売上に貢献したかどうかと賃金との間には直接の関係はありません。
 賃金は、会社が従業員の時間をどれだけ拘束したかによって決まります。
細かい例外はあるとしても、これが大原則です。

 

 裁判所は、労働時間を「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義しています。
 会社の売上に貢献する作業をしていたかどうかなどは関係ないんですね。


 このような考え方から、裁判所は、朝のラジオ体操や業務終了後の掃除などの時間も、事実上強制されている場合には労働時間に当たり、その時間に対応する賃金を支払わなければならないとしています。

 

2 働き方改革の方向性

 上述のとおり、賃金=労働時間が大原則ですから、残業代を減らすためには労働時間を削減する他ありません。
 そこで、多くの会社では、電通事件以降、従業員に定時退社を義務付けるようになりました。
 しかし、なかなか上手くいっていない会社が多いようです。
 それもそのはずで、仕事の量が急に減るわけではありませんし、個々の従業員の生産性が急に向上するわけでもありません。

 

 真に働き方改革を成功させるためには、単に労働時間を減らすのではなく、

 ①非効率な業務を削除する

 ②業務効率化ソフトを活用するなどして業務の効率化を図る

 ③従業員に生産性向上のインセンティブを与える

などの施策を同時に講じなければならないということになります。

 以上の①~③のうち、最も重要なのは③です。
 と言いますのも、行動経済学的に人間には「現状維持バイアス」といって、現状を変更しまいとする傾向があります。加えて上述のとおり賃金は基本的に労働時間によって決まりますから、会社が③について努力しないと、従業員の方から積極的に業務効率化に取り組む可能性は極めて低くなります。

 

 なお、いくら労働時間で賃金が決まるからといって勤務成績は昇進には関わってきますから、向上意欲の高い従業員は特に会社が③について努力しなくても勝手に自分の頭で考えて業務の効率化を目指します。
 ですから、会社の従業員全員がそのような向上意欲の高い従業員の場合、あまり会社が③について努力する必要はありません。


 ただ、あまりそのような会社は多くないのではないでしょうか。

 さて、それでは、他の会社はどのように③を実施しているのでしょうか。

 某企業では、事務作業の削減や自動化などに貢献した従業員には、賞与の際に換金できる社内通貨を付与しています。
 これは、従業員に対して業務効率化について正のインセンティブを与える方法ですね。
 逆に、負のインセンティブを与えている企業もあります。
 たとえば、残業ランキング上位者には残業が必要であったことの説明義務を課す、業務効率化ルールを定めてそれに違反した者は降格させるなどです。


 某企業では、社内メールでは「お疲れ様です。」や「肩書」を入力しない、エクセル資料の色付けはしないなどのルールを定めて従業員に遵守させています。

 以上、労働時間の短縮=残業代の削減を実現するためには、法的手段以外の事実上の様々な工夫が求められます。
 とはいえ、本メルマガは法律分野の解説を主としていますので、次回以降は、労働時間削減に役立つ法的手段について解説していきます。

 

<あとがき>
日本企業の生産性は先進国の中でも最低レベルと言われ、背景には、日本人の「長時間労働=良く頑張っている」という考え方があると指摘されています。
 たしかに、私自身、夜遅くまで働いている事務員さんに対して「良く頑張ってるなぁ。」と感じることがあります。
 皆様にもこのように少なからず「労働時間」で従業員を評価しようとしてしまう傾向はないでしょうか。

 業務効率化による労働時間の削減を実現するためには、トップ又はマネージャーの立場にある者のマインドチェンジが一番重要なのかもしれません。

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