第27回メルマガ記事「有給チャンス」 2018.8.23号

 甲子園球場では白熱した試合が繰り広げられています(作成当時8月20日準決勝)。私は千葉県出身ですが、下関市民として下関国際高校を応援していました。

残念ながらベスト4にはなれませんでしたが、猛暑の中、粘り強い試合で勝利を手にする姿には、毎試合ごとに感動を与えてくれました。

 

 残念ながら下関国際高校に勝利した日大三高は敗戦してしまいましたが、春夏連覇の偉業を目前にした大阪桐蔭高校VS秋田、東北地方初の優勝を背負った金足農業高校の決勝戦も楽しみです。

 

 年齢を重ねるごとに一つの物事への熱意が消えてしまいがちですが、甲子園球児のように熱い心を失わず生きていこうと思うこの頃です。

 

 さて、それでは本題に移ります。

  今日(作成当時8月20日)ニュースを見ていたら、とある企業で「有給チャンス」なるクイズ形式のメールが上司から部下へ送信されていたことが話題になっていました。

 

 このメールは、クイズに正解することができた褒美として有給を与え、正解しなければ有給を与えられないというものです。

 本来、有給休暇は、「法」によって与えられた労働者の「権利」のひとつです。しかし、有休チャンスは、「当該企業の上司」に与えられた労働者の「権利」に変えてしまうものです。我が国は、人による支配ではなく、法による支配が実践させてきた近代国家です。しかし、有給チャンスは法による支配ではなく、人による支払いが実践されたようなもので、この問題は江戸時代に逆戻りしてしまったような印象をうけます。

 

 少し固い話になってしまいましたが、呆れるばかりで、上司からしてみれば当該企業では有給をとることができない雰囲気、環境となっており、部下においてもそのような共有認識をもっていたと考えたことから、おふざけの一つとして「有給チャンス」なるメールを送ったものと推察されます(あくまで当職の推察です)。

 

 度を超えてしまった悪フザケのつもりが、全国ニュースものの大問題になった事案でしょう。

 

 そもそも、このような問題の発端は何かを私なりに考えてみました。

いわずもがな有給休暇を取得しづらい業務量、社内の雰囲気、これまで上司も有給を取得することができなかったなどの職場環境にあることは明白でしょう。また、従業員個々の精神面のケアを十分にしていなかったことも原因のひとつに上げられるかもしれません。

 

 まして、当該企業自体は、「有給チャンス」を知らないという有様です。時代の変化ついて行けず、企業体質が一昔前のままで放置されていたことが次なる原因でしょう。

 

 ニュースによれば、暴言や暴力行為もあったようです。

一昔前の体育会系の中学、高校の部活でありがちな光景だと思いました。

 

 「有給チャンス」のメール自体は、法に反した行為をしているわけではありません。道義的にそのメールは許されないというものでしょう。

 

 しかし、そこから会社が有給をきちんと与えていないことが浮き彫りになりました。

 

 前回私が書いたメルマガの中で労災の適用がある交通事故の通じて会社の不祥事が明るみにでることがあると書きましたが、まさに「有給チャンス」もそのひとつでしょう。

 

 法に違反していなければ「有給チャンス」社員を懲戒処分にすれば済む問題でした。

 

 やはり常日頃からコンプライアンスを意識し法を遵守できているか、法に遵守できていないところがあってもそれが明るみに出ないような環境を整えているかをチェックすることが大事だったと言える事案ではないかと思います。

 

 メルマガを読まれている皆さんにとっても「有給チャンス」は人ごとではないと思いますので、弊所に相談するなどしてコンプライアンスに注力してみてはいかがでしょうか。

                                  

 

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