第12回メルマガ記事「試用期間について」 2018.1.5号

弁護士の長船友紀と申します。

皆様、明けましておめでとうございます。本年も引き続き、代わる代わるメルマガを配信させていただきたいと思っておりますので、弁護士法人ラグーンともどもよろしくお願いいたします。

さて、新年の風物詩といえば、箱根駅伝ですが、今年も青山学院大学が優勝しましたね。何と四連覇だそうです。

箱根駅伝における青山学院大学の近年の活躍ぶりを見ていますと、スポーツにおける指導者の役割の大きさを再認識します。青山学院大学がこれほどの活躍を見せるようになったのは、原晋監督が就任されたことが一番の要因であることは、誰も異論のないことではないかと思います。

私も原監督の著書を拝読し、その指導方法に感銘を受けましたが、近頃は、メディアへの露出も増えているため、そろそろ指導がおろそかになって、成績も落ちてくるのではないかと思っていたのですが、全くの杞憂に終わりました。

これだけ勝ち続けると、来年も有力な新入生が原監督を慕って、入学してくるでしょうから、好循環が続き、暫く青山学院大学の黄金時代が続くことを予感させます。

  少し前置きが長くなってしまいましたが、私のメルマガでは、これまで色々な企業の方々とお話しをさせていただく中で、企業の方々が少し勘違いされているのではないかと思う法律問題について、お話しさせていただこうと思います。

  今回は、「試用期間」についてお話しさせていただこうと思います。

 

 皆様は、試用期間中に、本採用を躊躇するような従業員さんがいた場合、試用期間終了後に、自由に本採用を拒否できると思っていませんか?

  このような質問をすると、企業の経営者の方々からは、「試用期間とはそのために設けているんだから、自由に本採用を拒否できるに決まっているだろう。」という声が聞こえてきそうです。

  しかし、この点につき、最高裁判所は、以下のように判断しています。

  まず、試用期間の法的性格について、試用期間の当初から期間の定めのない労働契約が成立し、ただ解約権が留保されているにすぎない(解約権留保付労働契約説)としたうえで、本採用の拒否は、「解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認される場合にのみ」許されるとしています。

  つまり、試用期間中も従業員さんとの間では、労働契約が成立しているのであって、自由に本採用を拒否できるわけではないということです。

  もっとも、試用期間は、入社後、労働者を正社員として本採用する前に、職業能力や企業適応性をみるためにもうけられる制度であることに鑑みて、実際に働かせてみて従業員としての能力・適格性に欠ける場合などは本採用拒否ができると考えられます。

 

 以上の通り、本採用の拒否は、使用者の思い通りにできるわけではないものの、本採用後の通常の解雇と全く同視することはできず、従業員としての適格性の判断期間という試用期間の性格から、本採用拒否に関する使用者の裁量判断は、通常の解雇の場合よりも広く認められることになります。

  いずれにしろ、本採用拒否は、後で、従業員さんから争われる可能性も秘めていますので、ご決断される前に、一度、ご相談いただければと思います。

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