第15回メルマガ記事「債権回収②」 2018.2.22号

弁護士法人ラグーンの仁井です。

 

平昌オリンピックが開幕して、日本代表メダル獲得の吉報が続いていますね。

選手の皆さんはこれまで血のにじむような努力を続けられたのだと思います。

その集大成としてのメダル獲得だからこそ、国籍を問わず多くの人々の感動を生み出しています。

 

アインシュタインは「私はそれほど賢くはありません。ただ、人より長く一つのことと付き合ってきただけなのです。」という言葉を残しました。

才能や向き不向きも影響するとは思いますが、それ以上に一つのことに集中して努力を続けることが重要という趣旨かと思います。

 

凡才の私は、アインシュタインの言葉や日本選手団の活躍を励みに、今日も弁護士業務に向き合いたいと思います。

 

さて、話は変わって本題に入ります。前回のメルマガで「債権回収」をテーマに取引先に対する債権回収がいかに難しいものであるのかご説明しました。催促→訴訟→強制執行という手続きには時間と労力が必要でリスクも多いという話でした。

 

今回は、予防法務の観点から何をすべきか、取引先に支払停止の兆候が出始めた場合に企業としてどのような対応をすべきかお話したいと思います。

 

まず日常的な注意点(予防法務)についてです。

①取引先のこと分かっていますか?

 基本中の基本ですが意外と見落としがちです。取引先がどのような企業であるのか把握しておく必要があります。登記を確認することで、資本金や役員構成等、ある程度の規模感や信用性を推測する資料になります。

 

②その契約、内容は明確でしょうか?

 取引をするには特別な事情がない限り契約書を作成するようにしましょう。言った言わないの話になる(裁判では本当にこの種の争いが多いです)ので、合意内容は解釈に争いの余地がないように、明確に契約条項に残します。取引先との力関係等の理由で契約書の条項を変更できる状況になければ、極力メールでやり取りをする等の工夫が必要です。

 

③リスク管理は十分でしょうか?

 どのような担保を取るかはケースバイケースですが、不動産に抵当権を設定したり、継続的な取引であれば取引基本契約を締結したり、根抵当権を設定したりすることも有用です。また、商品の販売であれば、所有権留保特約を付けておくことで、取引先に不払いが生じた場合に、販売した商品の優先的な引揚げ(もちろん無断での引揚げはできませんが…)が可能となります。

 

④債権管理はできていますか?

 入金状況の適時の把握は当然です。担当者を設けて、支払停止の兆候はないか等、意識的に確認しておく必要があります。

また、取引先に応じた与信限度を設定してこれを遵守します。人間関係を大切にする姿勢も大事ですが、不用意に情に流されるようなことがあってはいけません。

 

日常的に意識しておくべき視点の一部を列挙しましたが、いざ支払停止の兆候が出始めた場合はどうすべきでしょうか。担保や相殺権の行使等で事前にリスク管理が十分にできているというケースでは粛々と手続きを実行すれば良いので、以下では準備不足のケースを想定しています。

①状況の把握

 取引先の経営が悪化しているらしい…という情報が出回ったときには、すでに噂や風評で情報が錯綜している状況です。債権者として把握すべきは事実であり風評ではありません。現場に直行して、状況の把握、担当者や代表者からのヒアリング、可能な限り決算関係書類の開示も求めるべきです。さらに、会社関係者(例えば役員の親族等)の所在や財産も確認しておくべきです。とにかくこの時点では、会社に関係する情報はあればあるほど良いのです。

 

②方針の決定

 すぐに法的手続に移行すべきか否かを検討します。弁護士に相談することが望ましいです。

 例えば、他に担保が取得できそうとか、リスケをすれば債権回収の見込みが高まるケースであれば、無理に法的手続へと移行させる必要は少ないかもしれません。

逆に、一日も早く債権回収を実行すべき事案で、取引先に預金や売掛債権があれば、取引先が勝手にこれらの財産を使用・逸失させないように、訴訟提起前に仮差押えを行う必要があります。通常の裁判だと時間がかかり、その間に取引先の財産がなくなる可能性もあるので、財産を仮に押さえておく(処分を禁止する)という手段です。

 

③その他

 他に、担保設定契約はしているけど登記はしていないというケースがまれにあります。取引先との力関係等による妥協の産物かと思いますが、このような不備がないように早急に手続きを完了させましょう。

 

小難しい話になってしまい、具体的なところまで述べることはできませんでしたが、ここまでお読みいただいた方にはもう取るべき手段は明らかですね。

「備えあれば憂いなし」

ということで、一度自社の債権管理体制について見直し必要に応じて専門家の助言を受けることが大切です。

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