第16回メルマガ記事「企業様と交通事故が関連する法的問題①」 2018.3.8号

当職は、交通事故チームリーダーを務めていますので、企業様と交通事故が関連する法的問題をご紹介したいと思います。

 

①従業員の通退勤中の交通事故、

②従業員の職務従事中の交通事故の2種類が想定されます。

 

まず、①に関しては労災が適用されますので、交通事故によって生じた損害の一部は労災により支払われます。

しかし、ここで問題が生じるのは、従業員にも過失が存在する場合です。

例えば、過失割合5:5の交通事故が従業員の会社への通勤途上で発生したとして、事故の相手方に200万円(後遺障害非該当~14級相当)の損害が発生したとします。

 

このような場合に、事故の相手方は従業員に200万円の5割にあたる100万円を請求することができます。

これに加えて、事故の相手方は会社に対しても、使用者責任(民法715条1項)に基づき100万円の損害賠償請求をすることが可能となる場合があります。

これは②従業員の職務従事中に発生した交通事故であれば、なおさらです。

会社のロゴや社名のペイントがされた車両を運転していれば、職務従事中の事故であることは明らかだからです(理論的には複雑な問題が多々ありますがここでは省きます)。

 

このような責任が使用者側に認められる大きな理由は、業務中に発生した事故の被害者を救済するためです。

労働者に賠償金を支払う資力がない場合であっても、使用者側に資力が存在することも多いことから、被害者を救済するべく使用者側にも責任を認めています。

 

また、指導監督をあまりに怠っている場合には、従業員が交通事故により被害者に大けがを負わせた場合には刑事責任を負わされるおそれもあります。過剰に労働をさせた結果、従業員が事故を起こし、会社代表者が業務上過失運転致死(傷)罪で逮捕されたというニュースがありますが、まさにそれと類似した状況となります。

 

では、このメルマガを読まれている方々の多くは使用者側であると推察されますので、どのように予防すればいいのかをお話します。

 

対策として容易に行えることは、日々の指導・監督です。

例えば、朝礼で必ず注意喚起を行うことや道路交通法に関する資料を従業員に配布したり、交通ルールに関する勉強会を行ったりという交通事故に注意をする意識付けが大事です。

これはセクハラ問題、過剰労働問題など企業が抱える問題に共通して効果のある対策といえるでしょう。

例えば、交通ルールを無視した危険な運転ばかりを繰り返す従業員がいたとして、それを放置していれば使用者の責任が問われかねませんし、根気よく指導・監督を行っていたし、車両の運転をさせないような環境作りをしていたのに従業員が暴走して事故を起こしたような場合にまで責任を負わされるのは納得いきません。このような対策を使用者側が行っていれば、責任を免除または軽減できます。

 

また、この対策を行ったということを証拠として残すことが必要です。

 

当職の恩師の言葉の一つに「裁判は主張で負けるのではない。証拠で負けるんだ。」という言葉があります。

どんなに弁の達つ者でもその証拠がなければ裁判には勝てません。

 

常日頃から従業員の指導・監督を行い、その指導・監督を行ったことを証拠として残すということをしておきましょう。

これも予防法務の一つです。

 

少し長くなってしまったので、次回は②従業員の職務従事中の交通事故に焦点を絞って、会社の間接損害、休車損害や積荷損害などのお話をしようと考えています。

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