第3回メルマガ記事「残業代シリーズ③」 2017.8.24号

 今回は、前々回からの「残業代と働き方改革」シリーズの最後になります。

 

 労働時間と賃金・・・企業にとっては永遠の課題ですね。

 財務の観点、従業員間の公平の観点、モチベーション向上の観点・・・考慮しなければならない要素が非常に多いです。

 

 皆様の会社の賃金体系はどのような理由により今の体系になっていますか。

 業界の標準額としていたり、毎年の業績をベースにしていたり、何となく昔から今の体系になっていたりと、様々だと思います。

 

 実際のところ、賃金が会社の業績に与える影響はあまり明らかになっていません。

 意外にも、賃金のアップは従業員のモチベーションアップにあまり効果的でないという研究結果もあります。

 仕事のやりがいなど、賃金外の数値化できない要素の方が、意外と会社の業績を決定付けているのかもしれません。

 

 さて、「本当に大切なのは賃金ではないかもしれない。」などと前振りしておきながら恐縮ですが、今回の本題、「残業許可制の導入」について解説していきたいと思います。

 

1 残業許可制と注意点

 少しおさらいになりますが、残業許可制とは、その名のとおり、従業員が残業する場合には、会社の許可を得なければならないという制度です。

 会社には、明示的に禁止した時間外労働を受領する義務はない、すなわち無許可残業に対しては残業代を支払わなくてもよいと考えられています。

 ただ、注意点としては、無許可残業を放置した場合には残業代の支払いを免れません。そのような場合、会社は残業を黙認したと認定されるからです。

 この制度を導入する以上は、きちんと無許可残業に対しては細かく注意をしなければなりません。

 具体的には、証拠として記録に残るように、メールなどで無許可残業を注意し、また、残業をする必要性や残業の内容を報告させるなどします。

 

2 就業規則の変更

 就業規則の変更は簡単です。

 「従業員が、時間外労働、休日労働及び深夜労働を行う場合には、あらかじめ上長の許可を受けなければならない。」という条項を設けるだけです。

 直ちに残業を0にするのは難しいという会社の場合、「1時間を超えて時間外労働をする場合には・・・」という留保を付けることも考えられます。

 なお、変更した就業規則は、従業員に周知することが必要です。

 

3 残業許可制と並行して・・・

 前回も述べたとおり、残業許可制を導入するだけでは何も解決しません。

 この制度の導入により、無許可残業に対しては賃金を支払わなくてもよくなりますので、従業員にとって残業をする金銭的インセンティブは失われます。

 しかし、それだけです。

 この制度を導入しても、仕事量が減るわけでもなければ、業務効率が向上するわけでもありません。

 

 業務の効率化に関する書籍は多数出版されているところですので、詳しくはそちらに譲りますが、共通して指摘されていることは、①経営陣が生産性向上に本気で取り組むことを宣言すること、②直接にも間接にも売上に直結しない無駄な事務を見つけ出して止めること、③生産性向上のアイディアや生産性の高い者に対してはプラスの評価を与えること、④効率化されたルールは「見える化」することです。

 個々の会社の状況によって、採り得る方法は異なりますので、自社にあった施策を導入しましょう。

 

4 段階的に・・・

 実際には、いくら業務効率化に取り込んだとしても、毎日平均3時間の残業があった会社が次の日から残業が0になったということはありません。

 生産性を中心とした評価制度が実際に適用されることにより従業員の間に生産性評価という考え方が浸透し、生産性を意識した業務が遂行される中で、日々、新たに改善点が発見されて徐々に業務の効率化が実現されます。

 

 

 ですから、経営陣は○○ヵ月後には平均残業時間を○○時間に、○○ヵ月後には0を目指すというように段階的な目標を明示すると共に、残業許可基準も段階的に厳しくしていくようにしなければなりません。 

 

 以上、第3回にわたり、残業代と働き方改革というテーマで解説をしてきました。

 実際に働き方改革を行うのには、かなりの労力を投資しなければなりません。人間には、第1回でご紹介した「現状維持バイアス」があります。

 自分も他者もそう簡単には変革に向かって動き出すことはできません。

 

 しかし、我が国では、労働人口が減少して労働力の確保が難しくなっていきます。

 中長期的視点から見れば、生産性向上への取り組みは企業が避けて通ることができない課題といえるのではないでしょうか。

 

<あとがき>

 生産性・・・最近、本当に良く見かける言葉です。

 ただ、個人的には「生産性を向上させよう!」と言われてもそれほど心熱くなりません。

 

 「生産性」「効率」という言葉は、どこか冷たい印象を受けませんか?

 

 業務の生産性向上・効率化は、それ自体が人の目的となるものではないように思います。

 「生産性を向上してもっと多くの人にこの商品を提供したい」といった自社の商品・サービスに対する愛情や「早く帰って家族と一緒に過ごしたい」という家族愛

があって人は初めて生産性の向上に本気で取り組む・・・そんな気がいます。

 生産性を向上させてどうしたいのか(どうなりたいのか)という生産性向上の究極目的を明確にできるかどうか(また、明確にしてあげることができるかどうか)が生産性向上を実現できるかどうかのキーポイントになる・・・私はそんな風に考えます。

 

 それでは、また再来週に本メルマガでお会いしましょう。

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