第4回メルマガ記事「解雇シリーズ①」 2017.9.14号

 弁護士の内田です。

 

 年々、夏の暑さが増しているように感じますね。最近は、男性でも日傘をする人がいるようですが(下関で見たことはありませんが・・・)、将来的には、それが普通の光景になるのかもしれません。

 よくマーケティング関係書籍で挙げられる「靴を履く文化のない国に行った営業マン」の話ではないですが、「日傘は女性がするもの」という既成概念を打ち破ることができれば、「男性向け日傘」市場が開けるのではないかと思います。

 

 私自身、他者の目が気にならなければ、正直、日傘を差したいですし・・・。

 

 さて、日傘の話はこの程度にして、本メルマガの本題「解雇」について解説していきます。

 今回のメルマガでは総論的なところを、次回のメルマガでは各論的なところを解説します。

 

 皆様、解雇というとどのようなイメージを持たれていますか。

 

 おそらく、多くの方がどうしようもない従業員に対する「最後の手段」というような認識をお持ちではないでしょうか。

 

 全くそのとおり、解雇は、会社が行使し得る「最後の手段」です。

 では、なぜ「最後の手段」なのでしょうか。

 

 従業員がかわいそうだから。

 

 それもありますが、そのような認識しかないのであれば、今後、大きなトラブルに巻き込まれる危険性があります。

 

 なぜなら・・・

 

 上記の考え方には、「解雇は会社にとってもハイリスクな手段である」という観点がないからです。

 

 では、解雇にはどのようなリスクがあるのでしょうか。

 

 解雇が裁判で無効と判断された場合、解雇時に遡って、現在まで解雇された従業員は会社の従業員であったという取り扱いになります。

 「でも、解雇後は会社の業務に従事していなかったのだから、賃金は払わなくてよいのでは?」と思うところですが、この場合、会社が無効な解雇に基づいて従業員の労務提供を一方的に拒否したという扱いになりますので、従業員は賃金の請求権を失わず、会社は遡って賃金を支払わなければなります。

 

 また、それに伴って、社会保険・労働保険関係の処理もしなければなりませんので事務負担も増加します。

 

 解雇無効と判断されたことが他の従業員・取引先などに知られることによって、「不当解雇をした会社」と評価されるレピュテーションリスクもあります。

 

 そして、もう1つ強調したい点があります。

 

 それは、「解雇が裁判所に有効と判断されるかどうかの見通しは極めて難しい。」ということです。

 

 労働契約法16条は、解雇について「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。

 

 どうでしょう。かなり抽象的な要件だと思いませんか。

 

 勿論、どのような場合に、「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当」と認められるかについては、非常に多くの裁判例の蓄積があり、ある程度の見通しは付けることができます(第2回で事例を挙げて解説します)。

 

 しかし、裁判官によって事実の認定、事実の評価にはバラつきがありますので、やはり、「100%こうなる。」とは中々言えないのです。

 

 以上、解雇は会社にとっても非常にリスクの高い手段なのです。

 ですから、会社が「この人には辞めてもらわないと困るな。」と考えたら、まずは任意に退職するよう退職勧奨から始めましょう。

 

 退職勧奨にも限界がありますが(極端な例を挙げれば、脅迫して退職届を出させてもその退職の意思表示は無効になります。)、もし違法と判断されても数十万円程度の慰謝料を支払うことで解決できる場合が多く、解雇に比べればはるかにローリスクです。

 

 退職勧奨の限界については、また回を改めて解説することもあるかもしれませんが、とりあえず、今のところは、「従業員の方が明確に退職勧奨に応じない意思を表明した」後に退職勧奨を継続すると違法と判断される可能性が高いと覚えておいてください。

 

 次回は、横領、ハラスメント、私生活上の非行、職務懈怠などの類型ごとに裁判例を紹介し、会社が採るべき対策についてお話しします。

 

<あとがき>

 最近の暑さに関連して、私が心配になるのは「労災」です。

 

 熱中症は、最悪、死に至る病ですから、従業員の熱中症対策を怠らないようにしましょう。

 

 それでは、また再来週に本メルマガでお会いしましょう。

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