第9回メルマガ記事「セクハラ・不倫と企業2」 2017.12.24号

弁護士の林です。前回に引き続き担当させて頂きます。年末に向けてどんどん寒くなってきましたが、風邪などに気をつけていただきたいと思います。

 

今回は解説編という形で前回の事案について、弁護士の観点から企業としての対応としてよかったのかについてみて行きます。前回のメルマガと合わせて読んで頂ければ幸いです。  

前回お伝えしなかった会社が課長に出した処分は、文書によるけん責ということでした。問題の理由は、「不倫によって風紀を乱した」ということでした。

 最終的には会社としてもセクハラの認定はしませんでした。

 それ以後、特に課長からも部下からも会社への批判は何もなく、勤務を続けているそうです。

 

 誰からも批判が出ていないことからすると、そのことからだけでも企業の対応としてよかったことはわかると思います。

 具体的に何が良かったのかを見て行きます。まず、企業内にセクハラを通報できる窓口があることです。これがないと初期段階で会社内での処理ができません。部下が弁護士のところに行っていたら、状況は大きく異なっていたかもしれません。

 

 次に、相談を受けて、調査をしていることです。十分な調査もなく、部下の言うことを信じてすぐに課長に処分を出していたら、その処分の適法性を争われていたに違いありません。担当者は、途中までセクハラと決めつけていた感じがありましたので、危なかったと思います。また弁明の機会などを設けていることも大切です。

 そして、担当者が判断するにあたり弁護士に相談するなど外部の意見を取り入れていることもよかったと思います。

 調査によって主張を収集していっても、必ず食い違う点が出てきます。このような場合にどっちの言っていることが正しいかを認定していく必要があります。

 

このような時に、事実認定のやり方を知っている弁護士を利用するのが一番だと思います。弁護士はもちろん裁判官ではないですが、裁判官と同じ事実認定の仕方を習得してきたので、裁判になった時に大きく結論が異なることにならないと思います。

 また、弁護士など外部の意見を聞くのは、担当者だけだと同じ社内がゆえに起こる課長に対する感情的な対応をせずに、冷静に対応できるというメリットもあります。

 このようなプロセスを取っていけば、判断を誤ることも少なくなると思いますし、これらをきちんとしておけば、課長と部下のどちらから会社の責任を問われても企業が負けることはないと思います。

 

私は最近、離婚事件で不倫の証拠集めに奮闘しています。ある依頼者は探偵に依頼しているのですが、探偵さんから直接私に連絡がありました。どういう写真が証拠として有効なのかについて話したいとのことでした。

誤解されている方も多いようですが、強い証拠がなくても、女性宅の駐車場に停まっている夫の車の写真でも、その他にいろいろと証拠を積み重ねれば、不倫を証明できるかもしれません。裁判官は、全証拠を検討して通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものかどうかで判断するので、証拠は1つでなくてもかまいません。今回私は探偵さんに依頼者が持っているある証拠から考えて、不倫相手の女性が付けている宝飾品の写真をお願いしました。

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