会社の支配権争いを解決した事例
1 事案の概要
とある会社において、創業者が有する株式を徐々に後継者に譲渡していくという節税スキームをとって事業承継をしていたところ、創業者が急死し、後継者に対して十分な株式が譲渡される前に相続の発生より株式が分散しました。
その後、後継者候補者と株式を相続により取得した他の相続人との間で紛争が生じました。後継者候補者は何とか他の相続人と話をつけて会社の支配権を確保できないか(大部分の株式を取得できないか)、弁護士に相談しました。
弁護士は、後継者候補者から他の相続人に対して請求できる権利について検討し、その権利を行使することにしました。その結果、その権利行使を控える代わりに株式の譲渡を受けることができ、後継者候補者は株式のほとんどを手中にすることができました。
2 弁護士の目
事業承継では、方法は様々ですが、基本的に株式を後継者に移転していくことになります。
一挙に移転してしまえれば良いのですが、会社の経営状態が良いと税金の関係でそうもいきません。そこで、節税を考えた様々なスキームが用いられるわけですが、本件のようにイレギュラーが発生すると税金云々以前に支配権(株式)の移転自体ができなくなります。
一見、対立する相手方に対してお金を払うほかないような状況に追い込まれても、すぐに下手に出てはなりません。「こちらかも攻撃できる材料はないか。その材料を使って交渉に持ち込めないか。」を考え、実行し、相手を交渉のテーブルに座らせます。
法的に攻撃できる材料は、基本的に弁護士でなければ分かりませんし、また分かっていても実行できないことが多いので、漠然とでも「相手はおかしなことをやっている。」と思ったら弁護士に相談してみると良いでしょう。紛争解決の糸口になるかもしれません。
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