受託業者との債務承認弁済公正証書作成
事案の概要
当法人のクライアント企業様(以下、単に「クライアント」という。)から販売委託を受けていた個人事業主(受託業者)が、契約上、本来、クライアントの商品を購入した顧客から預かってクライアントに送金しなければならない代金を、クライアントに送金せずに費消していたことが判明しました。
クライアントは、金額的に刑事事件にするまでのことは考えていないが、他方で民事的な賠償は確実にしてもらわないと困るということだったので、弁護士は、当該個人事業主の収入関係・資産関係について確認した上で、強制執行認諾文言付公正証書で債務承認弁済契約を行うことを勧めました。
強制執行認諾文言付公正証書により和解するメリットは、債務不履行があった場合(定められた分割金を支払わなかった場合など)に、訴訟を経由せず、直ちに強制執行手続を採ることができる点にあります。
結果、クライアントは当該個人事業主と債務承認弁済契約を強制執行認諾文言付公正証書で行い、使い込んだ金銭を分割して支払ってもらうことになりました。
弁護士の目
このような横領といえるような事案では、真っ先に刑事告訴が思いつきますが、刑事告訴するための告訴状一式の準備、捜査開始後の警察対応コスト、新聞等で報道されることによる不測のリスクなどを考慮すると、必ずしも刑事告訴が最良とはいえません。
本件は、使い込まれた金額は比較的少額で、受託業者側も反省しているようでしたので、民事的な賠償のみにとどめることになりました。
上述の強制施行認諾文言付公正証書で和解しておけば、いざ不履行というときに速やかに強制執行にかかれますので、手間・金銭コストは通常の和解書を作る場合に比べて必要になるものの、回収の迅速性・確実性に優れます。
強制執行をする場合、債務者の財産は特定しなければならないので(預金であれば、銀行名だけではなく支店名まで)、和解の際、差押えが可能そうな資産・収入については確実にヒアリングして記録に残しておくが肝要です。
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