営業成績の悪い支店長兼株主と協議して雇用関係と株式関係を精算した事例
1 事案の概要
依頼企業様では、株主兼従業員に支店経営を任せていたところ、支店の経営成績が思わしくなく、本店役員との間で責任について言い争うようになりました。
依頼企業様としては、株主兼従業員には退職してもらい、かつ株式も本店役員(兼株主)に譲渡して欲しいと考えるようになりました。そこで、依頼企業様は弁護士に株主兼従業員との契約交渉を依頼することにしました。
弁護士は、丁寧に株主兼従業員の言い分や将来の希望を聴き取ると共に、税理士に財産評価基本通達による株価算定を依頼し、その額をベースに交渉を重ねました。
結果として、株主兼従業員は一定の条件で退職及び株式の譲渡に同意しましたので、株式譲渡に必要な株主総会決議を行い、円滑に退職まで終わることができました。
2 弁護士の目
一般的ないわゆる問題社員との退職交渉とは異なり、労働者が株式を持っている場合には特別の配慮が必要になります。株式を一定割合有する株主と鋭く対立してしまうと、株主権の行使により円滑な業務運営が阻害される結果になる危険性もあります。
また、非公開株式(株式の譲渡に会社の承認を要する株式)の譲渡や自己株式取得には会社法所定の手続の履践が必要になりますし、株価をどのように算定するかといった問題も生じます(この点、円滑・迅速な解決を望む場合、税務上の算定基準である財産評価基本通達が用いられることが多いです。)。
このように、株主兼労働者との関係解消については多角的な検討と交渉戦略の組立が必要になりますので、弁護士等の専門家に相談した方がよいといえるでしょう。
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