高度人材紹介サイトを経由して雇用した支店長に退職していただいた件
1 事案の概要
X社は、高度人材の紹介サイトを経由して、高額な手数料を支払って支店長となる者を雇用しました。
ところが、雇用した労働者は、支店長としてあるまじきパワハラ行為を行うようになり、また当該支店の売り上げも低迷を続けました。
X社は、雇用して1年程度が経過した頃、当該支店長に退職してもらわなければならないと考えるようになりました。そこで、X者はどのように同人を退職させるのが適切なのかを弁護士に相談しました。
弁護士は、現時点で解雇に踏み切るのはリスクが高すぎるので、退職勧奨から始めるようアドヴァイスしました。結果として、給料の半年分を支払うことで和解し、円満に退職してもらうことができました。
2 弁護士の目
高額な手数料を支払って高度人材紹介サイト経由で労働者を雇用しても、その労働者が優秀とは限りません。経営者としては、高額な手数料を払っていることから何とか頑張って欲しいと思いますが、一方で毎月、毎年、会社が支払う人件費も高額になりますし、重要なポジションに生産性の低い者を置き続けることにより発生する機会損失(優秀な人材を配置していれば得られたであろう利益)も高額になります。
そこで、やはり最終的には退職していただかなければならないことになるのですが、「能力不足」を理由とする解雇に対しては厳しい姿勢で有効と認められるのは難しいため、まずは退職勧奨を行うべきです。
このとき、労働者側が退職を拒否すると解決金の話になることがあります。労働者側の落ち度が大きい場合は、給与の1か月ないし3か月分を解決金として支払うことが多いですが、事案によっては本件のように6か月分や1年、2年分を支払うことがあります。
「なぜ、会社に迷惑をかけている労働者にそんなに払わないといけないのか。」という気持ちはごもっともですが、上述したとおりその者を雇い続けるコストと機会損失の方がはるかに高額になることが多いので、経営者としては、感情よりも経済的合理性を優先せざるを得ないことが多いです。
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